
中国へ行ったことがある人も、テレビだけでしか中国を見たことない人も、きっと中国の交通事情についてはある程度「危険だな」という感覚があると思います。
よくある「衝撃!決定的瞬間」のようなテレビ番組でも、結構な頻度で中国の交通事故などの映像が流れてきます。
そりゃあ中国も広大で、人口だって14億以上いるなら、自己の映像などは日本の比較にはならないと思いますけれど、そうは言ってもなかなか衝撃的なものが多いです。
私が滞在していたのは2000年~からだったので、まだ自転車が主流でした。
しかし、そうは言っても車やバイクの数も増えており、なかなかにスリリングな体験を何度もしました。
中国では想像以上にバス路線も多く、あちらこちらでバスが走っています。
路線バス以外でも、マイクロバスのような感じで、一応ルートは決まっているけれど、手を挙げたら乗せてくれて、そこで止めてくれと言えば降ろしてくれる、タクシーのようなバスもありました。
今もあるかどうか分かりませんが、何両も連結されたトロリーバスのようなものも走っていました。
とにかく縦横無尽(?)に色々な交通車両が走っていました。
そんな中、私が体験したスリリングな実体験を2つほど紹介したいと思います。
①バスがバウンド
その日は用事があり、初めて違う路線のバスに乗った時のこと。
荒い運転でそこそこ有名な路線だったけれど、乗ってみると確かに交通ルールがあるのかどうかわからないような荒い運転で、しかも明らかなスピードオーバーの状態で目的地に向かっている途中、いきなりバスがバウンドしたのです。
中国の道路は舗装されてないところも多く、またそういう凸凹部分にタイヤがのったのだろうと一瞬思ったが、運転手が急ブレーキをしたので、おやっ?いつもと違うな、と思って窓から外を見ると何やら人だかりが。
窓を開けて人々の視線の先に私も目を向けると、人が倒れている様子がチラリと見えたのです。
運転手が血相を変えて大声で「操!(OMGのような汚い言葉)」を繰り返し、そこに近づいていく様子が見えました。
それ以降、一定期間はバスやタクシーに乗っていてバウンドしたらドキッとするような状況が続きました。
道路が舗装されていないので、頻繁にバウンドするんですけどね・・・。
②金持ち特権?
私が勤めていた会社の中国人董事長(社長)に食事に誘われて、5つ星ホテルのレストランへ向かっている途中の出来事でした。
社長は日本語に興味があるようで、自慢のBMWを運転しながら、しきりにこちらを向いて、自分が分かる日本語が正しいかどうかを聞いてきていました。
「社長、頼みますから、ちゃんと前見て運転してくださいよ・・・」と何度も言っても、「大丈夫大丈夫」とつたない日本語で返してくる社長。
そして、目の前の大通りの交差点で赤信号なのに、やはりこっちを向いていたので、「社長、ほら赤、赤」と私もついつい日本語でそう言うと、社長はそれに気付いて急ブレーキ。
その瞬間、激しい衝撃を身体中に感じたのです。
痛みが治まるのを数十秒待ち、社長と共に外に出てみると、後ろから追突されていたのです。
社長はBMW、追突してきたのは中国でよく見るフォルクスワーゲンのサンタナタクシー。
タクシーは見事にボンネットが半分に折れて跳ね上がり、バンパーも地面に落ちているくらいの状態だったけれど、驚愕したのは、社長の車を見た時でした。
うっすら横線が入ったかな、くらいのレベルで、凹みさえなくほぼ無傷。
やはり高級車はこんなに違うものなのか、と感動した覚えさえあります。
ここからがさらに度肝を抜かれた話です。
タクシーの運転手は、まぁ当たり前ですがお怒りの様子で社長に対してまくし立てていましたが、社長はそれを遮り、すぐさま携帯を取り出し、どこかに電話し始めました。
数分後、白バイに乗って1名の警官が来たので、事故処理のやり取りが始まるのかなと思っていたら、社長と何やら歓談し、警官から「行ってヨシ」という言葉が。
「え?今から事情聴取とか現場確認とかするんじゃないんですか?」と社長に聞いたら、「いや、大丈夫大丈夫」とまたつたない日本語で答え、「あの警官は友達だから」と中国語で付け足した。
私は心の中で「で?え?だから?」という思いが巡ってきたけれども、あぁそういうことか、という思いも内心湧いてきて、深く聞くのをやめにしました。
タクシーのおじさんは何やら大きな声で怒っており、私は何とも申し訳ないような気になりながらも、大人しく車に乗り込みその場を後にしました。
正直、事故をしたことよりも、その後の処理に軽いショックを受けてしまい、中国の見てはいけない一部を覗いてしまったような気になりながらも、その後すぐに高級レストランで高級料理を堪能している自分が一体「どちら側」なのかを考えさせられるような体験でした。
私が実際に身体に衝撃を覚えるほどの事故をしたのはこの2件ですが、それ以外も危険を感じた状況は数えきれないほどです。
皆さんも中国では、信号が青でも入念に左右確認を怠らず、カーチェイス並みの運転をするタクシーやバスはすぐに下りるか、ゆっくり走ってくれ、と言う等して、自分の身は自分で守ってください。